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明六雜誌
s-1
1-o_yo-1
明六社雜誌第一號
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洋字國語書する
s-2
1-o_yo-2
洋字を以て國語を書するの論
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西
s-3
1-o_yo-3
西周
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吾輩日常二三朋友盍簪當時治亂盛衰政治得失など凡て世故談論及ぶすれかの歐洲諸國比較する多かる終に彼の文明羨み我が開化歎じ果て果て人民如何するなし云ふ歸し欷歔大息ざるあり
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1-o_yo-4
吾輩日常二三朋友の盍簪に於て偶當時治亂盛衰の故政治得失の跡など凡て世故に就て談論爰に及ぶ時は動もすればかの歐洲諸國と比較するヿの多かる中に終には彼の文明を羨み我が不開化を歎じ果て果ては人民の愚如何ともするなしと云ふヿに歸して亦欷歔長大息に堪ざる者あり
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維新以來賢材輩出更張より六十至るまで既に昔日日本
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1-o_yo-5
夫維新以來賢材も輩出し百度も更張し官省寮司より六十餘縣に至るまで既に昔日の日本に非ず
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善政美擧屈指あらざるなり
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1-o_yo-6
其善政美擧も屈指に暇あらざるなり
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然る退熟々考ふれ百端未だ脱垢至らざるのみ善政あれども蒙ら美擧あれども得失償はざる多し
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1-o_yo-7
然るに退て熟々之を考ふれば百端未だ脱垢の地に至らざる事のみにして善政あれども民其澤を蒙らず美擧あれども得失相償はざる等の事多し
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なれ維新以來日たる未だ久しからざれ外面規模如何に盛大あれ衷情未だ浹洽ざれなり
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1-o_yo-8
是何となれば維新以來日たる未だ久しからざれば外面の規模は如何に盛大にもあれ衷情未だ浹洽せざればなり
[9] tree
衣裳爨婦舞衣被せたる如し
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1-o_yo-9
是殆猿に衣裳爨婦に舞衣を被せたる如し
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上旨下達下情上伸全身不遂如し
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1-o_yo-10
故に上旨は下達せず下情は上伸せずして全身不遂の人の如し
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一二賢明英傑皷舞振起欲する眠り貪る醒起醉倒たる扶助する如し
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1-o_yo-11
是を以て間に一二賢明英傑の人有て之を皷舞し之を振起せんと欲するも猶眠りを貪るの兒を醒起し醉倒したる夫を扶助するが如し
[12] tree
倦み竭き倒れ
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1-o_yo-12
手倦み力竭き己亦從て倒れんとす
[13] tree
かの有力首唱たる遂に屈し赤心吐露するなく姑く濁らし啜り本意ならざる糢糊俯すならざるなり
s-13
1-o_yo-13
是かの有力者首唱たる者も遂に屈し己の赤心を吐露するヿなく姑く泥を濁らし醨を啜り本意ならざるも糢糊首を俯すに外ならざる所なり
[14] tree
見る擧世通患歸する賢智寡く不肖衆く衆寡敵せざるなり
s-14
1-o_yo-14
僕が見る所擧世の通患にて是歸する所賢智の寡く愚不肖の衆くして其勢衆寡敵せざるなり
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所謂人民如何するなきなり
s-15
1-o_yo-15
是前に所謂人民の愚如何ともするなき者なり
[16] tree
在上施し行ふ上へのみ通患たるあら
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1-o_yo-16
是盖在上者の政を施し令を行ふ上へにのみ通患たるにあらず
[17] tree
今日交際にて苟も衆力合し一事企て欲する先づ險岨越ゆべからざる見る
s-17
1-o_yo-17
今日交際上にても苟も衆力を合して一事を企てんと欲する時は必先づ此一險岨の越ゆべからざるを見る
[18] tree
然る如此き人民左提右挈勞來輔翼なく耘らざるなく時宜制し漸次開明進ましむるより當路諸公反すれ將さに政事在ら
s-18
1-o_yo-18
然るに如此き人民の愚も左提右挈勞來輔翼其苗を揠ヿなく去て耘らざるヿなく時宜を制して漸次開明の域に進ましむるは素より當路諸公の任にして之に反すれば其罪將さに政事上に在らんとす
[19] tree
ども斯世幸福蒙る衰弊救藥べからざる至る獨り政府たるのみなら人民自己世道にて苟も賢智たらする先んじ救ふなくんば世道なし謂ふべから
s-19
1-o_yo-19
然ども此弊に因て斯世の民幸福を蒙るヿを得ず衰弊の極救藥すべからざるに至るは亦獨り政府の罪たるのみならず抑其國人民自己世道上の罪にて苟も賢智の徒たらんとする者は先んじて之を救ふヿなくんば亦世道上に於て其罪なしと謂ふべからず
[20] tree
先生學術文章結ば欲する在るべし
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1-o_yo-20
今森先生の此學術文章の社を結ばんと欲するも盖亦爰に在るべし
[21] tree
それ所謂なりなり文章なりかの愚暗破り一大艱險除くなれ謂ふ
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1-o_yo-21
それ所謂學なり術なり文章なりは皆かの愚暗を破り一大艱險を除くの具なれば僕謂ふ
[22] tree
苟も人民世道かの愚暗大軍敗ら欲すれ他路なかるべし
s-22
1-o_yo-22
苟も人民私に世道上に就てかの愚暗の大軍を敗らんと欲すれば之を置て他路なかるべし
[23] tree
僕輩駑材謭劣なる敢て就か願ふなり
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1-o_yo-23
是僕輩駑材謭劣なるも敢て力を陳て列に就かんを願ふ所なり
[24] tree
然り而て竊かなき能は
s-24
1-o_yo-24
然り而て僕竊かに疑なき能はず
[25] tree
學術文章鴻鵠なす雖ども苟も運ぶ事業あらざれ折角主意徒爲属せなり
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1-o_yo-25
今學術文章を鴻鵠となすと雖ども苟も歩を運ぶの事業あらざれば折角の主意も徒爲に属せんヿなり
[26] tree
それ朋友蓋簪切磋琢磨或は見解陳べ或は疑義扣問討論講究より鮮少なら
s-26
1-o_yo-26
それ朋友蓋簪切磋琢磨或は己の見解を陳べ或は疑義を扣問し其討論講究素より其益鮮少ならず
[27] tree
ども從事する事業あらざれ恐く愚暗堅軍破摧する眼目達する能はざら
s-27
1-o_yo-27
然ども從事する所の事業あらざれば恐くは愚暗の堅軍を破摧するの大眼目を達するヿ能はざらん
[28] tree
恐るるなり
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1-o_yo-28
是僕尤恐るる所なり
[29] tree
拙陋省み奇々怪々一案呈し聊か社中先生駭愕供せ
s-29
1-o_yo-29
依て拙陋を省みず奇々怪々の一案を呈して聊か社中諸先生の駭愕に供せむとす
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然る愕くべく怪むべく所謂隋珠暗中投ずる如し雖ども謂ふにて事業襄成希くかの愚軍破摧する先鋒たら必せ
s-30
1-o_yo-30
然るに此案眞に愕くべく怪むべく所謂隋珠を暗中に投ずるが如しと雖ども僕謂ふに此社にて此事業を襄成せば希くはかの愚軍を破摧するの先鋒たらんヿ必せり
[31] tree
姑く題號たる學術文章論ずる所謂なりなり文章始めて立つべし
s-31
1-o_yo-31
今姑く社の題號たる學術文章の三義に就て之を論ずるに所謂學なり術なりは文章有て始めて立つべし
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苟も文章なし
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1-o_yo-32
苟も文章なし
[33] tree
s-33
1-o_yo-33
何をか學とし何をか術とせん
[34] tree
貫道なり古人言へ
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1-o_yo-34
文は貫道の器なりと古人亦之を言へり
[35] tree
然る所謂文章なる言ふ書する言ふべき書すべから
s-35
1-o_yo-35
然るに今其所謂我の文章なる者言ふ所書する所其法を異にして言ふべきは書すべからず
[36] tree
書すべき言ふべから
s-36
1-o_yo-36
書すべきは言ふべからず
[37] tree
文章なる文章一大艱險なり
s-37
1-o_yo-37
是亦文章中の愚なる者にして文章中の一大艱險なり
[38] tree
既に見るあり
s-38
1-o_yo-38
盖世の人既に爰に見るあり
[39] tree
今日改正するなきあら
s-39
1-o_yo-39
故に今日之を改正せむとするの擧亦なきにあらず
[40] tree
曰く漢字減じ定む
s-40
1-o_yo-40
曰く漢字の數を減じ其數を定む
[41] tree
曰く和字のみ用ひ字書製し文典作る
s-41
1-o_yo-41
曰く和字のみを用ひ和字書を製し和文典を作ると
[42] tree
異論あり近日翹楚なり
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1-o_yo-42
其他異論ありと雖是近日の翹楚なり
[43] tree
それ漢字減定する僻見至れ謂ふべし
s-43
1-o_yo-43
それ漢字を減定するの説僻見亦至れりと謂ふべし
[44] tree
牛羊狐狸同じく飮ふ充て已むのみ
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1-o_yo-44
今牛羊狐狸同じく一澤に就て飮ふ時は各其腹に充てて已むのみ
[45] tree
なる憾み
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1-o_yo-45
何ぞ其澤の大なるを憾みんや
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曰ふ
s-46
1-o_yo-46
其人盖曰ふ
[47] tree
牛羊腹肚なり
s-47
1-o_yo-47
牛羊腹肚大なり
[48] tree
なる在り
s-48
1-o_yo-48
大なる者稀にして在り
[49] tree
狐狸腹肚なり
s-49
1-o_yo-49
狐狸腹肚小なり
[50] tree
なる往々在り
s-50
1-o_yo-50
小なる者往々にして在り
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請ふ
s-51
1-o_yo-51
請ふ
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なるなる概せ
s-52
1-o_yo-52
其小なる者を以て其大なる者を概せん
[53]
s-53
1-o_yo-53
[54] tree
識量歐洲在り活語兼ね拉丁希臘希伯利聖斯基利死語なり
s-54
1-o_yo-54
此小識量歐洲に在り數國の活語を兼ね又拉丁希臘希伯利聖斯基利の死語に及者に異なり
[55] tree
曰く和字のみ用ふ
s-55
1-o_yo-55
曰く和字のみを用ふと
[56] tree
あるたり
s-56
1-o_yo-56
是頗理あるに似たり
[57] tree
然る和字子母音合す
s-57
1-o_yo-57
然るに和字の制子母音相合す
[58] tree
不便よりなるなし
s-58
1-o_yo-58
其不便焉より大なるはなし
[59] tree
後條至り請ふ
s-59
1-o_yo-59
是後條に至り請ふ
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細論
s-60
1-o_yo-60
之を細論せん
[61] tree
斷然與すべからざる知る
s-61
1-o_yo-61
此兩の説僕斷然其與すべからざるを知る
[62] tree
夫れ方今歐洲習俗入る多き居る
s-62
1-o_yo-62
夫れ方今の勢歐洲の習俗我に入る頗其多きに居る
[63] tree
建瓶如きあり
s-63
1-o_yo-63
勢亦建瓶の如きあり
[64] tree
衣服なり飮食なり居住なり法律なり政事なり風俗なり百工學術至るまで採る向はざる莫し
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1-o_yo-64
衣服なり飮食なり居住なり法律なり政事なり風俗なり其他百工學術に至るまで彼に採るに向はざる者莫し
[65] tree
而て所謂雜居なり所謂洋教なり遲速あるのみ
s-65
1-o_yo-65
而て所謂雜居なり所謂洋教なり是も亦盖遲速あるのみ
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永久期すれ雜居必ずざる
s-66
1-o_yo-66
之を永久に期すれば雜居必ず行れざるを得ず
[67] tree
洋教必ず入らざる
s-67
1-o_yo-67
洋教必ず入らざるを得ず
[68] tree
今ま甘蔗食ふ
s-68
1-o_yo-68
今ま人甘蔗を食ふ
[69] tree
苟も食ふなき
s-69
1-o_yo-69
苟も食ふなきは則已ん
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佳境止め欲す
s-70
1-o_yo-70
今其佳境に至て之を止めんと欲す
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べけ
s-71
1-o_yo-71
豈得べけんや
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既に駸々遺す能はざれ謂ふ
s-72
1-o_yo-72
其勢既に駸々其七を取て其三を遺す能はざれば僕謂ふ
[73] tree
文字併せ取る若か
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1-o_yo-73
文字を併せて之を取るに若かず
[74] tree
夫れ我が文字先王始め漢土用ふ
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1-o_yo-74
夫れ我が國の文字先王始め之を漢土に取て之を用ふ
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那の文献悉く漢土取る
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1-o_yo-75
那の時文献亦悉く之を漢土に取る
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一たび世運逢ふ文献既に歐洲取る
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1-o_yo-76
今一たび世運に逢ふて文献既に之を歐洲に取る
[77] tree
則ち獨り文字取らざるあら
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1-o_yo-77
則ち何ぞ獨り文字を取らざるの説あらんや
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夫れ支那如き土地廣大人民蕃殖國勢既に巍然而て文物典章煥然たり
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1-o_yo-78
夫れ支那の如き土地廣大人民蕃殖國勢既に巍然而て文物典章亦煥然たり
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沿れ文明既に歐洲耻ぢ
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1-o_yo-79
之を古に沿れば文明既に歐洲に耻ぢず
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なら足れ
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1-o_yo-80
苟陋ならば其陋を守て足れり
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顧るあら
s-81
1-o_yo-81
亦何ぞ他に顧るあらん
[82] tree
然る而て如き從來經歴徴し國民性質質す襲蹈長じ模傚自ら機軸出すなり
s-82
1-o_yo-82
然るに而て我國の如き之を從來の經歴に徴し之を國民の性質に質すに襲蹈に長じ模傚に巧にして自ら機軸を出すに短なり
[83] tree
以往文學一事徴する中古貴べ羅山闇齋宋儒中江熊澤陽明蘐園王李根せ降れ袁鍾だも襲蹈するある至る
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1-o_yo-83
之を以往文學の一事に徴するに中古白氏を貴べる羅山闇齋等の宋儒を宗とせる中江熊澤等の陽明に源せる蘐園の王李に根せる降れば則袁鍾だも襲蹈するあるに至る
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未だ曾て一人能く機軸出すある
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1-o_yo-84
未だ曾て一人の能く新機軸を出すあるを見ず
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たるざるなり
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1-o_yo-85
故に我の新は彼の陳たる言を待ざるなり
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如此き人民如此き居る
s-86
1-o_yo-86
夫如此き人民を以て如此き國に居る
[87] tree
我がなす憚る
s-87
1-o_yo-87
人の長を取て我が長となす亦何の憚るか之有んや
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况や捨て從ふ美徳服する尼訓大義必ずより出で快しする大智取らざる守ら
s-88
1-o_yo-88
况や己を捨てて人に從ふは大舜の美徳義を聞て則服するは尼訓の大義事必ず己より出でて心に快しとするは大智の取らざる所今亦何ぞ其陋を守らむや
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謂ふ
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1-o_yo-89
僕謂ふ
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自ら機軸出す能は雖ども遷り用ふ
s-90
1-o_yo-90
我の民自ら機軸を出す能はずと雖ども善を見て遷り長を取て用ふ
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美徳なり
s-91
1-o_yo-91
亦美徳なりと
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然る而て主張然ら言は
s-92
1-o_yo-92
然るに而て徒に此言を主張せば誰か亦然らずと言はん
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將さに謂は
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1-o_yo-93
人將さに謂はんとす
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彼の採り彼の文字用ふる固よりなり
s-94
1-o_yo-94
彼の長を採り彼の文字を用ふる固より可なり
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而て天下遽か學ばしむる難し
s-95
1-o_yo-95
而て天下をして遽かに之を學ばしむるヿ難し
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其れ如何
s-96
1-o_yo-96
子其れ之を如何と
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或は曰く彼の文字用ふる素よりなり
s-97
1-o_yo-97
或は曰く彼の文字を用ふる素より可なり
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遂に英語若くは佛語用ひしむる若か
s-98
1-o_yo-98
遂に英語若くは佛語を用ひしむるに若かず
[99] tree
魯國官府悉く佛語用ふ
s-99
1-o_yo-99
昔魯國の官府悉く佛語を用ふ
[100] tree
自國用ふ
s-100
1-o_yo-100
今則稍自國の語を用ふ

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